ネットで話題の「乃木坂46の生歌」問題。アイドルに歌唱力はどこまで必要なのか? “アイドル歌手の永遠の課題”ともいうべきその問題について、いま一度考えてみた!

アイドルの歌唱力について芸能ライター3人が放談!!

芸能ライター・織田祐二(以下、織田) 最初に確認しておくと、乃木坂の生歌問題って別にいまに始まったことじゃないんだよね

芸能評論家・三橋りの(以下、三橋) 9月の『Mステ』、10月の『MUSIC FAIR』『CDTVスペシャル! ハロウィン音楽祭2017』あたりの生歌の件で俄然ネットが盛り上がってますが、そもそもは2013年の夏ぐらいから言われていますね」

ネットライター・天然バナナ工場長(以下、バナナ) ライブでは2015年の夏のツアーから生歌が増えているとも。そう考えると、本格的に生歌やるようになって2年以上の時間が経過しているわけですが、進化はそれほど見られないという結論で……(苦笑)

三橋 まあ、AKB同様、そもそもが歌唱力ありきでメンバーがチョイスされてるわけじゃありませんからね。
アイドル性やヴィジュアルが第一義で歌はその次。いきなり、今回のテーマの核心つくこと言うようですが(笑)

織田 ネット見ると、必死にフォローしてるファンもいるようだけど、現時点、下手なものは下手というしかない。
モー娘。やももクロの生歌の反論として『彼女らも声を加工してる。いまどき、生歌なんてものはありえない』という意見も見受けられるけど、レコーディングの際に手を加えるのはアイドルに限らず常識の話で、それとライブでの生歌と混同されてもねえ。
ライブ時のマイクにディレイやビブラートかけてるケースも多々あるといっても、生歌を上手くさせることまではできないから

バナナ 『乃木坂の生歌が増えてるという記事を●●で読んだのですが』と書きこんだら、『●●の記事を信用するなんて』という答えが返ってきたり。
その記事、確かにディスりも入ってるのですが、『生歌が増えてる』という実情に関しては正しいと言わざるえない。
あくまで一部のファンだと思いますが、論旨のすり替えが見受けられるのが残念

織田 今回ここでの主旨は、乃木坂に限らず2017年現在のアイドルの歌唱力問題について。それについて思うことは?

三橋 それはもう上手いに越したことはないでしょう。って言うと、『いまのアイドルで本当に上手いのは数人だけじゃん』といった反論も来そうですが、フツーにまあまあな感じで聴ければいい(笑)。
別にアイドル歌手全盛の80年代だって、上手いと思える子は限られていましたから。大半が下手で、そういう子はほぼ曲がヒットすることなく、歌手としてフェードアウトしていきました

バナナ おそらくね、いまの時代もソロで下手だったらそうそう受け入れられないですよ。
歌唱力を超えたグループのパワーというね、集団でのダンスの妙味と言ってもいいと思いますが、そういう魔力というか魅力の作用はあると思う

織田 あとは楽曲のよさね。ここ数年は、コンポーザーやアレンジャーの力量アップで、売れてないグループでも、凝ったサウンドやレベルの高い楽曲がたくさん見受けられるから。
そういう曲のよさを考慮して、歌唱力は二の次って考え方はフツーにあると思う

三橋 ただ、そういうのは新人だけって話もないですか?(笑)

織田 もちろんある。たとえば、Negiccoなんてのはもう13、4年やってるはずだけど、ライブの生歌に関しては、見るたび聴くたびに納得がいかない。
忸怩たる思いにかられるっていうか。彼女らの場合、楽曲のクオリティがグンと上がったここ5年ぐらいから、CDとライブの乖離が見られるようになった気がするんだけど

バナナ 織田さんも好きなGEMなんかもね、メンバーによっては生歌微妙ですよね。
でも、声量あって声が出ている分、聴いてて救いがある。
野球でたとえるなら、ノーコンなんだけど140キロ出せるみたいな。誉めすぎか(笑)。
いわゆる、伸びしろ、ポテンシャルがあるタイプ。
ただ、声量がない子は一から相当がんばらないとダメで、おうおうにしてそういう子は大成しない

三橋 それって、目下話題のラストアイドルの面々に当てはまるような?

織田 ハロプロだってね、厳しい目で見ると、力量の差は各自バラバラだよ。
ただ、しっかり歌を訓練してきたこと、していることだけはわかるから、聴いてておもしろい。
ま、そこのところと曲がヒットするかは別問題で、その部分もまたおもしろいんだけど

バナナ ちなみに、現時点、確実に上手いと思える子は? ネットではお決まりの記事、テーマですが 

三橋 山本彩に小田さくら。有安杏果とかSU-METALとか生田絵梨花とか鈴木愛理とか高木紗友希とか、その辺はどの記事でも挙がってきますね 

織田 個人的にその中では小田が抜きんでてると思うけど、ほかの子も上手いよ。
まあ、曲にもよるしね。アコギで聴きたいあったかい声は山本だし、メタルでSU-METALに勝てる子はいないし、和田アキ子や伊勢正三も認めた有安のヴォーカルは表情豊かな声の妙味で聴いてて本当に気持ちが上がる。
乃木坂で孤軍奮闘の生田はアイドルという範疇を超えた意味で別格の上手さ 

三橋 乃木坂には川村真洋もいますがね(笑)。
うーん、アイドルの歌の上手さを論じるにあたって、重要なのが同性の意見だと思うんです。その意味で、昨年11月に某ネットニュースで発表された『アイドル好き女子大生が選んだ歌が上手いと思うアイドル』ランキングというのがありまして、まあ、前述の面々が上位に入っているのですが、信憑性に足るというか、好感が持てる(笑)ランキングになっています 

バナナ 元モー娘。の高橋愛が5位に入ったランキングですね。
6位にまねきケチャの藤川千愛、7位に私立恵比寿中学の柏木ひなたが入ってた。
下位を見ると、微妙な子が入ってなくもないですが(笑)、確かに上位は納得の顔ぶれでした 

織田 じゃあ、そろそろまとめに入るとして、生歌やるからには最低限、フツーにまあまあの歌唱力が必要ってことで…… 

三橋 それだと曖昧なので、ズバリ、アンジュルムぐらいのレベルで……って、こう言うと、彼女らのファンからクレームが来るか 

バナナ いやいや、ライブでの生歌の平均点という意味では、アンジュルムだと基準が高すぎる感も(笑)

織田 結局ね、ファンの間では結論は出ないと思う。
やっぱり、当面は具体名は出さずに“最低限フツーにまあまあの歌唱力”ってことでいいんじゃないのかしら。
個人的には、先だってのラストビデオコンサートでも改めてその魅力とパワーに圧倒されたおニャン子クラブが最低基準なんだけど 

三橋 彼女らが最低基準だったら、乃木坂ファンはもっと自信持っていいはず(苦笑) 

(文責・ゴーゴータイムズ雑賀@西荻窪・沖縄居酒屋『馬小(うまぐわ)』にて)

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