解散の翌年以来30年にわたって続いてきたおニャン子クラブビデオコンサートがついに終止符を迎えることに。現場に足を運んだおニャン子世代(白石麻子や渡辺美奈代と同い年)の芸能ライターが思い、感じたものとは?

先日、ついに最終回を迎えた「おニャン子クラブビデオコンサート」。30年にわたって続いてきたこのイベントに参加してきた芸能ライター・織田祐二にその様子と感想を聞いてみた。

──長丁場の鑑賞、ごくろうさまでした。

芸能ライター・織田祐二(以下略)「主催者指定の集合時間から数えて、ざっと6時間あまり立ちっぱなしだったからね。完全に足が棒になりました。まあ、集まった500人の観衆を観察すると、大半が“まだまだやってくれ!”的な雰囲気もあったんで、単に自分が年なだけなんだけど(笑)」

──まずは率直な感想から。

「イベント開始前に場内でかかってたのが、ビートルズの『サージェント・ぺパー~』のアルバムだったんだよ。おニャン子が解散して30周年だけど、このアルバムも今年発売50周年の記念の年で。40周年のアルバムもかかるかな? 77年のリリースといえば、セックス・ピストルズの『勝手にしやがれ!!』がそうだ、かかるかなと考えたけど、やっぱかかんなかった」

──(苦笑)肝心のおニャン子についての感慨は?

「第一部のビデオコンサートはね、当然毎回一緒のものだから、いまさらとやかく言うことはないんだけど、やっぱ、場内のオーディエンスの熱気ね。コールや歌声や声援が当時の映像に負けじと場内に叫び響いて、改めて、ライブ・グループとしてのおニャン子の凄さ、ファンの凄さを実感させられました」

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──今回は女性ファンのためのフィールドも設けられていたとのことで。

「そうなんだよ。人数は50人なのか60人なのか定かじゃないけど、しっかりまとまった人数が足を運んだようで、そこでもおニャン子の普遍のパワーを痛感することに。できればね、女性ファンフィールドに加えて、現役の歌系女性アイドルのフィールドも設けてもらってね、いろいろ勉強してもらいたい気もしたけど」

──ツイッターなどを見ると、少なからずおニャン子ファンを自認するアイドルも何人か足を運んだようで。

「まあ、それっぽい(笑)子は数人見かけたけど。いやね、やっぱ歌ってCD出すからにはね、女性票も大事ってことなんだよ。自分が言いたいのは、おニャン子の曲のよさとか、男のファンを魅了し続けるパワーとか、そういうのを吸収してもらいたいってのももちろんなんだけど、女性のオーディエンスの反応ね。もう、みんな、本当に楽しそうで、生き生きした表情をしててね。そういうのを、生で味わってもらったうえで、曲の方向性やライブに反映させてもらいたいなあと」

──女性ファンのフィールドばかり見てたわけじゃないですよね(笑)。

「そんなわけないだろ。うーん、途中、そういう気味がまったくなかったわけじゃないけども(笑)」

──おニャン子OBが登場した第2部の感想は? 最後となる今年は、国生さゆり、内海和子、立見里歌、白石麻子、富川春美、布川智子、岡本貴子、杉浦美雪、宮野久美子の9人が登場しました。

「やっぱねえ。本題はそこなんだよね。できれば、新田恵利には登場してほしかったし、メンバーとファンのやりとりで名前が挙がったゆうゆとか名越美香とか高井麻巳子とか、それこそ、いまや、おニャン子メンバー中、最重要なレジェンドと呼べる永田ルリ子のサプライズ登場に期待したんだけどね。やっぱりダメだった」

──沖縄から駆けつけた富川春美の登場は十分特筆すべきものじゃないですか?

「まあね。いや、登場した9人、9人が一堂に会すってこと自体が特筆すべきものなんだけど。ただ、ないものねだりというか、せっかくのこの機会、それもとりあえずは最後の機会ということで、さらなる上の結果を過剰に求めてしまったというか……」

──内海と立見が工藤静香の曲をそれぞれ歌ったのも十分画期的だったと思いますが。

「『嵐の素顔』と『慟哭』ね。まあ、そうなんだけども」

──なんか煮え切らないですが(苦笑)。

「やっぱね、解散以来、一度も表舞台に顔を出してない永田ルリ子なんだよ。彼女について考えると、どうしてもテラさんを想起してしまって」

──テラさん?

「トキワ荘のテラさん、寺田ヒロオね。マンガ家として一線から身を引いて以降は、先輩格の手塚治虫始め、藤子不二雄や石ノ森章太郎らトキワ荘の仲間とほぼ絶縁状態になってしまったというね。時間が解決するって言葉があるけど、そうじゃないケースもあるのかなって、つくづく考えさせられる。解散コンサートで完全燃焼したといえばそれまでだけど、こうやって、時間を経て、新たな世代にもおニャン子が再評価されていく中にあって、初期メンバーにしてエースナンバーの18番の彼女の再登板は、どうしても求めざるえないんだよね」

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──その意味で、昨年、『夕やけニャンニャン』の伝説的ディレクターの笠井一二氏にインタビューしたときは、氏にその辺再確認したんでしたよね。

「ああ、永田ルリ子と白石麻子はソロ・デビューさせてもよかったんじゃ? っていう件ね。言ったのは言ったけど、30年も前のことをね、いまさら素人のこっちがグチグチ言ってもね。ただ、笠井さんなりにその辺はいまだに思うこともあるようで、そういう微妙な感触得られただけで自分は満足だった。『そんなことあったか?』と返されたらアレだけど、当時のことはしっかり記憶にあるようで、感慨深かった。逆に、2人のソロ・デビューの是非に関しては、秋元康氏に聞いてみたい気もするけど」

──一方の白石は、今回含め表舞台に屈託なく精力的に登場中で、その辺の対照ぶりは興味深いものが……。

「まあ、その辺は性格の違いと言ったらいいのか。本人の言葉聞かないとなんとも言えないけど。とりあえず、『ソロ・デビューしてもあとが続かなかっただろうな』という氏の見解が、いまとなっては、現時点では最たる正論なんだよなあ。コンサートの後半、現役中心メンバーとしてステージをリードして輝いた2人を見て、そんなことを改めて考えた次第」

──それではそろそろまとめに入っていただくことにして。

「昨日のメンバーの発言では、やっぱり富川の『おニャン子は永遠です!』と国生の『5年後あたりにまたなにかできたら』に注目したい。ビデオコンサートはいったん終了しても、別の関連イベントの開催は全然アリだから。ファンとしてもまだまだ夢は尽きないはずだし、おそらくそれはメンバーも大半はそう思ってるはず。うん、時間が解決するんだよ。それを一途に信じるということで。なにはともあれ、20年間毎年欠かさず有志でイベントを開催し続けた『おニャン子クラブ FINAL LEGEND 実行委員会』のスタッフの皆さんには敬意を表するとともに、長年本当に本当にご苦労様でしたと言いたいです」

(文・ゴーゴータイムズ雑賀@中野もんじゃ『ペンギン村』にて)

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