芸能ニュースの見出しや文中で、いまやお馴染みと呼べる“天然”“天然キャラ”といったフレーズ(惹句)。テレビの出演時や舞台挨拶、囲み取材などで意表を突く言動を披歴した際にそう取り上げられるのが常で、とりわけ、女優や女性アイドルが断じられるケースが多いわけだが、中には疑問符をつけざるえないそれも見受けられ、違和感を抱くこともしばしば???
「バラエティにおける天然アイドルの元祖は西村知美とも佐野量子とも言われますが、一般的に認知されるようになったのは2000年代以降、山口もえや小倉優子あたりの発言が発端でしょうか。アイドルではないですが、浅田美代子や中村玉緒らの一連のぶっとび言動による世間的認知も大きいと思われ、そう考えると、浅田、中村、西村、小倉らがレギュラー出演していた『さんまのSUPERからくりTV』(編集部註.1992年4月~2014年9月放送)の影響が大とも。ただ、なにかにつけやたら使われるそのフレーズですが、はたして、ホンモノの天然の子がどれほどいるかは微妙。大いに疑問があるところです」(芸能評論家)
目下、その代表格といえば、綾瀬はるかと吉高由里子。2人を取り上げる芸能ニュースでは決まって“天然”という見出し、フレーズが躍り、世の関心を集める結果になっているが。
「先だっても綾瀬は、主演のドラマ『奥様は、取り扱い注意』の初回拡大時間を番宣で言い間違えたり、共演したオリエンタルラジオを『オリジナルラジオ』、オリラジ中田を『田中さん』と呼び、ネットニュースで『天然炸裂』の見出しが。吉高も、共演した木村拓哉を『タクちゃん』と呼んだことで『天然ぶりが炸裂』と報じられ話題になりましたが、うーん、どちらも天然というよりは単にマイペースなだけという気がしないでも……(苦笑)」(同氏)
確かに「単なる勘違い」や「単なる言い間違い」、「マイペース」などと「天然」とは、似て非なるもの。かつて、こりん星の話を最初に活字にし、お笑いや芸能人の天然事情に一家言持つ(?)芸能ライターの織田祐二氏にもその辺聞いてみた。
「元来、天然は“天然ボケ”の意味。そこに笑いが生じないとダメなはずで、SKE48の大矢真那が、卒業コンサートの大事な場面で足がつったのを『天然』と報じたり、有村架純とのやりとりで『朝ドラ終わってもなお楽しそうでよかった』と語った葵わかなをそう断じたり、凱旋帰国で肝心のメダルをかけ忘れて撮影に臨んだ本田真凛をそう見なすのは明らかに違うかと。勘違いして買った馬券が当たって高畑充希を仰天させた土屋太鳳などは微妙にそれっぽいところありますが(笑)。『金曜日って何曜日だっけ?』とさんまに聞いた浅田美代子や、『ごっつええ感じ』の楽屋で『タクシーって漢字でどう書くんでしたっけ』と聞いた篠原涼子、『あそこが立ってるのが夫です』(編集部註「あそこに」の言い間違い)と言った三宅裕司の奥さんぐらい強烈で伝説的なインパクトがある発言じゃないと天然認定は容易にできないところ。ホンモノか否かはメディアじゃなく、大物芸人が認めて初めて成立するんじゃないでしょうか」
時代の変遷とともに「天然」の意味が多様化、最近では「天然=過剰にマイペースな言動」といった認識、捉え方があるのも実情だが……。新たなホンモノの天然女性芸能人の誕生を待ち望むべく(?)、当ニュースでは今後も随時、芸能メディアにおける「天然」報道をチェックしていきたい所存だ。
(文・山口容子)