2015年1月に、突如、「アーティスト宣言」なるものを行ない、ファンの間で物議を醸すことになった東京女子流。「国内のアイドルフェスには出場しない」「アイドル専門誌の仕事は受けない」といった方向性がファンの反感を買ったせいか、宣言実践後にリリースしたシングルは、『Never ever』が23位(オリコンウィークリーシングルランキング最高位。以下同)、『深海』が38位、『ミルフィーユ』が33位、『predawn/Don’t give it up』が22位と低迷、迷走の道を歩むことになったのは周知のとおり。
「その前にリリースした2枚のシングルはいずれもベスト10入りを果たしましたからね。順位の下落、その後の結果は、間違いなく宣言の影響によるものでしょう。そもそも、アイドルとしてデビューしたグループがなにをもってアーティストに変容、認識されるかは、昔から議論になる永遠のテーマみたいなもので、そういった歴史を踏まえての答えはただ一つ、各自ファンが決めればいいだけのこと。くだんのアイドルフェスやアイドル誌云々についても、徐々にフェードアウト的に出なくなればいいだけの話。無理にアイドル・ファンの気持ちを逆撫でするような物言いはしないほうがいいのです」(音楽誌ライター)
そんな彼女らが、夏の一大アイドルフェスというべき『TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)2017』(8月5日)に出演することを表明したのが6月のこと。驚きや喜びの声があがる一方、「アーティスト宣言したこの2年間はなんだったのか?」といった疑問の声も噴出、ファンの間でさらなる論争を巻き起こす結果になった。
「事実上の前言撤回を分析すると、やはり、2年間の選択が失敗だったからと言わざるをえないでしょう。その決断の背景には、アーティスト路線を推進したマネージャーやプロデューサーの交代劇が絡んでいるようですが、デビュー時からの古いファンを大勢切ることになった代償はとてつもなく大きかったということ。先日リリースされた新曲の『water lily ~水蓮~』は初週17位で、ここ2年の順位では最高の結果になりましたが、これを再浮上への序章と見るか否かは、もうしばらく動向を注視していく必要がありそうです」(同氏)
この2年の間には、グループの人気メンバーにして、“女子流の歌姫”の異名の“あぁちゃん”こと小西彩乃の脱退劇もあった東京女子流。正直、新曲のサウンドの方向性やクオリティを見る(聴く)限り、これまでの楽曲と同一線上の内容で、依然ハイレベルのエレクトリック・ダンス・ミュージック(EDM)を呈示しており、あらためて、あの宣言が悔やまれることしきり。まあ、いつまでもネガティブに捉えててもキリがないわけだが(笑)、むしろ、こういう楽曲をアイドルフェスで披露してこそ、その存在感がグッと増すようにも思われる。この2年で培ったパワーをTIFで存分に発揮してくれることを期待したい。
(文・山口容子)
avex trax (2017-07-05)
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