いまも昔も熾烈な各局のドラマの視聴率戦争。とりわけ、同じ時間帯に放送されるドラマは数字として明確な結果が出ることとなり、長年続いた日曜夜9時のTBSとフジのバトルは(ちなみにフジが仕掛けてスタートしたのは2010年10月期。前者が『獣医ドリトル』、後者が『パーフェクト・リポート』だった)、この10月からフジがドラマをやめ別ジャンルの番組に鞍替えするという結末を招くことになったが、こういった各局のドラマにおける戦国模様は今後も続くのは必至といえる。
「かつては同時間帯の対決が週に3つも4つもあったものですが、視聴率低迷を背景にドラマの撤退が続き、結局、その日曜夜9時を最後に当面はゼロに。一方で、同じ曜日の夜9時と夜10時といった時間差によるドラマの視聴率比較、ひいてはおもしろさの比較に関心が集まるようになり、最近では火曜夜の『僕たちがやりました』と『カンナさーん!』、木曜夜の『黒革の手帖』と『セシルのもくろみ』などを巡って、ネットを中心にファンの間で論争が巻き起こりました」(女性誌記者)
元来、比較好きな日本人ならではの相も変わらずの傾向といえそうだが、ここにきて、それが顕著な時間といえば、昼の12時30分台なんだとか。
「テレ朝の昼ドラとNHK朝ドラの再放送の時間帯ですね。この時間帯に見ている人ならわかると思いますが、昼ドラの本編が終わると同時にチャンネルを替えると朝ドラ再放送のオープニングに繋がるんです。で、朝の忙しい時間帯に朝ドラを見られない人で、昼休みのこの時間帯に昼ドラとセットで見る人は案外多い。必然、『今日はどちらがおもしろかったか?』というのは話の格好のネタになるわけですが、ジャンルや内容が著しく異なるこの2本はともかく、10月から新たに始まる朝ドラ『わろてんか』と昼ドラ『トットちゃん』はともに題材が往年のバラエティーということで、放送前からバトルの様相がプンプンしているんです(笑)」(同氏)
葵わかな(19)が主演する『わろてんか』は明治以降の吉本興業の創成期の物語(同創業者の吉本せい役)。対する清野菜名(22)主演の『トットちゃん』は、言わずもがな黒柳徹子の生い立ちを描いたもので、確かに相通ずる内容。加えて、葵、清野ともに、次世代の主役級ブレイク女優としてここ数年、女優ファンの間では要注目のお馴染みの存在であり、いやがうえにも見るほうは比較してしまうというもの。放送前ということで、いまから軍配を上げるのは相当無理があると思われるが、芸能ライターの織田祐二氏に両ドラマの対決の行方について占ってもらった。
「うーん、正直非常に難しいわけですが、思いきって言ってしまうと、軍配は『トットちゃん』かなと(笑)。なんといっても黒柳徹子ですからね。パンダのシャンシャンの影響もありますし、なにより『徹子の部屋』とセットで見る人間が圧倒的に多いのは想像に難くない。内容的にも、黒柳のドラマといえば、すでにNHKで満島ひかり主演でやって好評を博していますし、つまらないわけがない。『やすらぎ~』ですでに清野を重要な役で起用済みというのも大きい。一方の『わろてんか』はというと、『ひよっこ』の高度成長期ならではの勢いやノリと違い、よくも悪くも朝ドラの原点ともいうべき保守的な内容になることが予想され、そこを視聴者がどう受けとめるか。個人的に子役上がりの正統派美少女というべき葵わかなの存在は興味津々ではありますがね(笑)。ただしこれは12時半台に限った話で、熱狂的な朝ドラファンはしっかり朝8時に視聴するはず。そっちの反応は昼とは微妙に別の感も……」
『ひよっこ』であらためて大きくクローズアップされることになった昭和30年代の日本。確かにその流れでいうと、それを引き継ぐのは『トットちゃん』のほうであり、徹子の魅力、パワーも含め、期待度注目度は『わろてんか』に優る??? 葵の周囲を松坂桃李、高橋一生、千葉雄大といった旬の男前が固める『わろてんか』であるが、その辺の魅力の分析は本ニュースの専門外(笑)、とりあえず本稿の結論はそういうことで……。
(文・三橋りの)