今年のグラドル界を振り返って、なんといっても特筆すべきは、「グラビア・デビューがいきなり表紙」のケースが続出したことだろう。歌手で言うなら「ライブ・デビューがいきなり武道館」みたいなものだが(たぶん)、あらためて、その流れの背景にあるものはなんなのか? を考えると同時に、その功罪、それを果たした面々のその後を総点検!
まずはその流れについて、芸能評論家の三橋りの氏に聞いてみた。
「ここ数年で言えば、2013年に『ヤングマガジン』の表紙巻頭でグラビア・デビューを果たした柳ゆり菜が鮮烈な印象を残しましたが、それ以後、グループ系ではないいわゆる新人グラドルの、初水着での大手誌表紙登場というのは記憶にありません。それが今年になって、4月に『ヤンマガ』で表紙デビューした小倉優香を皮切りに、わちみなみ、澤北るな、アンジェラ芽衣、華村あすか、大原優乃、日比美思(ひびみこと)と頻出。その時流の根底にあるものは、ここ3、4年、顕著と呼べる大手出版社の先物買いによる独占起用が挙げられると思われますが、一方で、トップグループ系の子には絶対マネのできないグラドル独特の戦略とも言え、グループ系に対するグラドルのカウンターとして、この流れは今後も続く感があります」
確かにグラビアに対してのフットワークが軽くない人気グループ所属の子には、そう簡単には実践できない手法だろう。ただ、仕事としてのインパクトも大きい分、尻すぼみの危惧など、その後の展開のリスクも相応に大きいようにも思われるが。
「小倉、わち、澤北、アンジェラらはいずれも表紙仕事をその後もこなしており、特に、5本のドラマに連続出演を果たした小倉、月に4誌の表紙を務めた澤北など、期待に十分見合った展開と言えるのじゃないでしょうか。華村は表紙仕事はないものの、『サンジャポ』や、『モスバーガー』のCM、地元山形の衆議院総選挙啓発CMに出演。大原も来年に向けて、様々な展開が予定されていると伝えられますし、大原同様、元Dream5の日比は、12月4日売りの『週プレ』表紙に登場したばかりで、現時点、飛躍予想指数は100点満点と言っていい(笑)。ここまでの流れを見る限り、ネガティブな流れはほぼ皆無と言っていいでしょう」(同氏)
芸能ライターの織田祐二氏にも聞いてみた。
「うーん、唯一気になることと言えば、純グラドルとしての各自の意気込みの大きさですかね。表紙デビュー後、女優やバラエティでブレイクするやいなやグラビアはあっさり卒業みたいな展開は今後十分に考えられますので。所属事務所の体質や方針も含め、その子のグラドルとしての本気度をいかにこちらが見極められるかが重要。いきなり表紙デビューは悪くないですが、そういう子が増えた分、本気の純グラドルたちの活躍、起用のチャンスは確実に減るわけで、その点がどうも心配です」
なるほど。プロ野球でたとえるなら、日本人選手のアメリカ―・メジャーでの活躍は大いに期待したいわけだが、その分、日本のそれが盛り下がるのは本末転倒もいいところ。現状を見る限り、プロ野球界はうまくそのバランスを保っているようだが(メジャー級の選手が少ないという意味合いもあるが)、グラドル・シーンも“一時の腰かけ”ならぬ“一瞬の踏台”にならないようそのバランスをいかにキープするかが課題だろう。その意味でも、今後も続きそうな“いきなり表紙”の動向はグラドル・ファンとしてしっかり注視していきたい限りだ。
(文・ニイゼキユウジ)