「完売クイーン」の称号は今後どうなっていくのか
昔からグラドルの称号で名誉あるものの一つが“完売クイーン(女王)”。俗に「数字を持っている」などとも言われるが、雑誌にしろ、作品にしろ、イベントにしろ、しっかり売り切るのはタレント(およびカスタマー・ビジネス)としての紛れもない成功であり、人気の証と呼べるもの。
「グラドルにとっての勲章ですよね。2000年代は矢吹春奈、山崎真実、2010年代は篠崎愛、吉木りさ、近年では忍野さら、久松郁実、川崎あや、小倉優香(小倉ゆうか)、大原優乃、天羽希純……。最近では徳江かな、桜井木穂あたりがその称号を獲得しつつありますか。実績もそうですし、ネットニュースなどでのヒキも十分あるのがポイント。グラドルとなったからには一度は欲しい、呼ばれたい称号と言えるでしょう」(芸能評論家・三橋りの氏)
特にここにきての注目は“完売の女”という形容で話題を呼んだ桜井木穂だろう。“クイーン”でも“女王”でもなく“女”(笑)。グラビアでのセクシャルで堂々としたたたずまいの一方で、どこか親しみやすさや人懐っこさを感じさせてくれる彼女にあって、その称号はとても微笑ましく、マッチしたものと言えそうだ。
「自分にとっての最初のそれは90年代後半の青木裕子や黒田美礼あたり。“完売クイーン”というからには当然出せば売れる実情が根本にありますが、そう長くは続かないもので。なんでもかんでも媒体に出まくる、リリースしまくるというのではなしに、新鮮さやスペシャル感を失うことなく持ち合わせていくのも重要で難しいところ。その意味で、忍野さらや川崎あやは納得できましたし、徳江かなや桜井木穂もいい感じで展開されていると思います。以前のように作品が売れない時代ですが、その反面、SNSや動画でのアピールは好きなようにできる中で、いかに自分をプロデュースし売っていくか。“完売クイーン”の称号の重みはかつてないぐらい増していると思いますね」(芸能ライター・織田祐二氏)
イベントにおける“令和の完売女王”の異名を持つ天羽希純なども、そういったフレッシュさを上手くキープし続けているようにも思われる。
「一口に完売と言っても、百単位から万単位までコンテンツによって数字は大きく異なるというのも実情。そのあたり、完売クイーンの細分化が生まれてきているという側面もあり、興味深いところです」(三橋氏)
なるほど、確かにかつて、矢吹春奈ぐらいまでの時代は“完売といえば雑誌”、それも複数の雑誌での完売という実情があり、時代の移ろいを感じるというもの。新・表紙クイーン街道を邁進中の徳江かなや桜井木穂らの、“完売クイーン”“完売の女”の称号がどこまで重みをもち、世に浸透していくのか、じっくり見守っていきたい。
(文・ニイゼキユウジ)