いまからちょうど20年前。誰も予想だにしなかった“変人・小泉”内閣が発足し、時代がとてつもない大きなうねりをもって変化を見せ始めたあの年。
待ちに待った新時代・21世紀の初年にして、キューブリックの普遍の名作映画に時間が追いつくというメモリアルな年でもあったが、実は、我がグラドル界においてもまたしかり。新たな魅力やスペックを有したペルソナが続々ブレイクを果たし、未曽有の動きが次々生じた、極めて画期的な一年なのであった。
5.市川由衣、大城美和、川島令美、樹里、前島亜美奈など、新興事務所の面々がブレイク・ロードに名前を上げる!
怒涛のシーンの活況ぶりを受けて、各芸能事務所もグラドルの発掘に力を入れるようになる。とりわけ、新興事務所の動き(誕生)が顕著で、市川由衣(当時はエイジ)、大城美和(ラインプロダクツ)、川島令美(コミーインターナショナル)、樹里(アクアウェーブ)、若林菜美子(J&C)などがシーンに登場。写真集やビデオをリリースしつつ、各誌表紙、誌面グラビアを彩ることとなる。翌2002年に若槻千夏のブレイクで一気に躍り出る。
いまやグラドル事務所の老舗中の老舗のプラチナムプロダクションも当時は新興の事務所に過ぎなかった。「一事務所、所属タレントとしてグラドル1人~2、3人体制」の動きはその後、どんどん幅を利かせるようになり、グラドル・ブームの盛況の持続に加勢。やがてそれは、よくも悪くも“タレントや女優がゴールならぬグラドルがゴール”という流れも生むが、2001年のこの時点では可能性を大いに秘めた、頼もしい動きと言えた。
6.ビジュアルクイーン・オブ・ザ・イヤー、日テレジェニック、ミスマガジン、制コレ、テレ朝エンジェルアイなど、グラドルの栄冠が空前の大盛況!
この年のシーンの大きな動きの一つとして、各栄冠(タイトル)のさらなる活発化も挙げられるだろう。老舗のビジュアルクイーン・オブ・ザ・イヤーを筆頭に、日テレジェニック、ミスマガジン、ヤンジャンの制服コレクション、ファイブスターガール、テレ朝エンジェルアイ、プチエンジェルなどなど。その顔ぶれは以下のとおり。
浅見れいな、小向美奈子、宮地真緒、椎名法子
小野愛、藤川のぞみ、照山まみ、鈴木葉月
グランプリ・加藤未央
ミス週刊少年マガジン・中川愛海
ミスヤングマガジン・川崎真実
読者賞・鎗田彩野
審査員特別賞・若林菜美子
グランプリ・宮前るい
準グランプリ・村井美月、準グランプリ・沢尻エリカ
7up!・斉藤未知、7up!・遠藤栄理香、7up!・虎南有美、7up!・瀬戸早妃
前期・大城美和、西田夏、山口あゆみ
後期・綾瀬はるか、黒沢ゆう子、深谷愛
石川恵理、大沢安希、大城美和、樹里
プチエンジェル 小向美奈子、鈴木繭菓、高木梓、井上望
なかなかの顔ぶれと言えるだろう。小向美奈子や大城美和は二冠を果たしており、その期待度と勢いが窺われる。なお、期せずして、ミスマガジンと制コレはこの年よりリニューアルで各賞が制定。テレ朝エンジェルアイとプチエンジェルは新規の栄冠として誕生している。これだけの栄冠があると、おうおうにして「先に選んだもの勝ち」の様相も呈してくるものだが、一見してなんともバランスのよい選出になっている印象。それだけ層が厚かったということだろう。沢尻エリカ、綾瀬はるか、瀬戸早妃、虎南有美(KONAN)などは、徐々に知名度を上げながら数年後にあらためて本領を発揮する形に。層の厚さの証左の一つと言っていいだろう。
7.オーバー20(20歳以上)グラドルの躍進
前述した(その1・編)井川遥のブレイク以降、着実に生まれていったこの流れ。いまのファンからすると、「20歳のグラドルなんてフツーに常識じゃん」という認識だと思うが、20年前は違った。前述の栄冠の顔ぶれがそれを示しているが、ほぼ全員が10代。
20代で活躍といえば、井川遥(23歳。のちに1歳の詐称判明、実際は24歳)、川島令美(23歳)、曲山えり(21歳)、宗政美貴(23歳)ぐらいで、25歳以上のグラドルなどありえなかった。例として2001年の某特集ページに書いた自分の一文をあげると「今後はめちゃめちゃキュートなルックスの28歳の新人グラドルが誕生する可能性もなきにしもあらず……って、さすがにそれはナイか(笑)」。いま読むと、隔世の感がありすぎ!(笑)。
思えば、同年の夏頃、某誌の編集者に「20代グラドル・ブームがいずれ来る!?」的企画を提案したら、あっさり却下されたんだった(別の媒体で「囲み記事的に書くなら」という条件付きで書かせてもらった記憶が)。あの当時はそういう時代、認識。それが徐々に静かに、しかし着実に変わり始めたのがこの年だった。
8.寺本莉緒、森嶋あんり、花咲ひより、桜田愛音らが誕生
最後は余談だが、目下、一線で活躍中のフレッシュな彼女らが生まれたのがこの年。今後、2001年生まれのグラドルは続々登場してくるはずで(仮に22、3歳でデビューとなると、2023年以降)、大いに注目したいところ!
(文・織田祐二)